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セルフキャリアドックとは?メリット・進め方・成功事例を徹底解説

近年、働き方の多様化や少子高齢化の進行により、従業員のキャリア形成支援がますます重要視されています。そんな中で注目を集めているのが「セルフキャリアドック」です。本ページでは、セルフキャリアドックとは何か、そのメリットや進め方、成功事例を詳しく解説し、キャリア形成支援の重要性についても触れます。さらに、よくある質問(FAQ)にもお答えしますので、セルフキャリアドックについての理解を深めていただけます。

セルフキャリアドックとは

近年、働き方の多様化により従業員のキャリア形成が重要視されるようになっています。その中で「セルフキャリアドック」という制度が注目を集めています。セルフキャリアドック制度とは、従業員一人ひとりに寄り添い、個々のキャリアを重視・尊重し、教育やサポートを通じて支援していく制度です。

従来の従業員育成では、企業が必要とするスキルを従業員に教育することが一般的でしたが、セルフキャリアドックでは、企業の視点に加え、従業員自身が主体的にキャリア開発を実践することを重視します。この制度では、中長期的な視点で従業員が自己のキャリアビジョンを描き、その達成のために職業生活の節目で自己点検や実践を行うプロセスが提供されます。

セルフキャリアドックは、組織にとって必要なスキルの習得に加え、従業員が自身のキャリア目標を達成するための支援を行うことで、個々の成長と組織の発展を両立させる仕組みです。これにより、従業員のモチベーション向上やエンゲージメントの強化が期待されます

セルフキャリアドックが注目される背景

セルフキャリアドックが注目される背景には、以下の3つのポイントがあります。

少子高齢化による労働人口の減少

日本では少子高齢化が進行し、労働人口が減少し続けています。そのため、企業は人材の確保が難しくなり、一人の従業員に長く働いてもらうためのキャリア支援が重要となっています。企業が従業員のキャリア形成を支援することで、働くモチベーションや会社への帰属意識が高まり、離職率の低下が期待されます。

定年退職の延長

以前は60歳が定年の一般的な区切りでしたが、近年では65歳までの延長が進んでいます。このため、60歳以降も働く人々に対するキャリア支援が求められています。少子高齢化に伴い、高齢労働者の増加が進んでいるため、国全体としてもキャリア支援の必要性が高まっています。

政府による後押し

人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)などの制度を通じて、企業が従業員に対して職業訓練を実施する際に、経費の一部を国が助成しています。こうした政府の支援により、企業はキャリアドック制度の導入を促進しやすくなっています。

セルフキャリアドックの導入は義務?

セルフキャリアドックは2024年2月時点で義務化されておらず、今後も義務化の予定はありません。2016年に改正された職業能力開発促進法において、労働者が自らキャリアデザインに取り組み、職業能力を自主的に向上させることが求められています。また、事業主には労働者のキャリア形成を支援する義務がありますが、セルフキャリアドックの導入そのものが法律で義務付けられているわけではありません。

政府は、事業主が従業員のキャリア形成を支援する方法の一つとしてセルフキャリアドックを推奨しています。これにより、いくつかの企業がこの制度を採用しており、従業員のキャリア形成を促進し、組織の成長を支援する有効な手段として注目されています。法的な義務ではないものの、キャリア支援の一環として、企業が自主的に導入を検討するケースが増えています。

結論として、セルフキャリアドックの導入は義務ではありませんが、従業員と企業の双方に大きなメリットがあるため、企業が積極的に導入しているのが現状です。

セルフキャリアドックのメリット

セルフキャリアドックのメリットは、企業と従業員の両方にとって大きな効果をもたらします。

企業にとってのメリット

企業にとってのメリットは人材の定着と組織の活性化です。セルフキャリアドックを導入することで、従業員のキャリア形成を積極的に支援することができ、従業員のエンゲージメントが向上します。この結果、離職率が低下し、貴重な人材の流出を防ぐことができます。また、従業員が自身の能力やスキルを向上させることで、組織全体の生産性向上にも繋がります。企業にとっては、持続可能な成長の基盤を築くことができるのです。

従業員にとってのメリット

セルフキャリアドックは、従業員が自らのキャリアに対する意識を高め、仕事へのモチベーションを向上させる手助けをします。自身の希望するキャリアを追求し、それに向けたスキルアップの支援を受けることで、仕事に対する満足感や充実感が増します。さらに、企業からの支援を受けることで、従業員は長期的なキャリアビジョンを描きやすくなり、安心して働くことができます。

セルフキャリアドックの進め方

セルフキャリアドックを効果的に進めるためには、以下のステップに従って実施します。

ステップ1: 人材育成ビジョン・方針の明確化

まず、企業は人材育成ビジョンと方針を明確にする必要があります。経営者のコミットメントを示し、キャリアコンサルティングの機会を確保することを従業員に宣言します。次に、企業の経営理念を実現するために求める理想の人材像を明確にし、そのビジョンと方針を策定し、社内に周知します。

ステップ2: 実施計画の策定

セルフキャリアドックの具体的な実施計画を策定します。この計画には、キャリア研修とキャリアコンサルティング面談が含まれます。必要なツール(面談シート、報告書、アンケートなど)を準備し、実行プロセスを整備します。

ステップ3: 社内体制の整備

次に、社内体制を整備します。責任者を決定し、キャリアコンサルティングを統括します。また、社内規定を整備し、キャリアコンサルタントの育成・確保を行います。キャリアコンサルティング面談で収集した情報を共有するためのルールも整備します。

ステップ4: セルフキャリアドックの実施

セルフキャリアドックは以下の4段階で実施します。

  • 事前ガイダンスの実施:従業員にセルフキャリアドックの意義や目的を説明し、研修や面談の内容を周知します。
  • キャリア研修:キャリアの棚卸しを行い、キャリアビジョンやアクションプランを作成します。
  • キャリアコンサルティング面談:個別の面談で従業員のキャリアビジョンや課題を明確にし、対策を策定します。
  • 振り返り:面談後のフィードバックを行い、セルフキャリアドック全体の効果を把握します。

ステップ5: フォローアップ

最後に、フォローアップを実施します。キャリアコンサルタントは報告書を作成し、人事部門は総合的な報告書をまとめます。必要に応じて追加の面談を行い、組織的な改善措置を実施します。セルフキャリアドックの継続的な改善を図るため、効果測定と課題把握を行います。

フォローアップの重要性

セルフキャリアドックにおいて、フォローアップは従業員の成長と組織の発展を支える重要なプロセスです。
フォローアップを通じて、キャリアコンサルティングの成果を定着させ、従業員がキャリア目標を着実に達成できるよう支援します。
これにより、組織全体の生産性やエンゲージメントが向上し、長期的な発展に寄与することが期待されます。

定期的なモニタリングと支援

キャリアコンサルティング後の定期的なモニタリングは、従業員のキャリア意識や仕事ぶりにどのような変化があったかを把握するために不可欠です。
人事部門やキャリアコンサルタントは、協力してこのプロセスを行い、必要に応じて追加の面談や支援を提供します。
また、従業員の上司もこのプロセスに積極的に関与し、部下の成長をサポートする体制を整えることが求められます。

継続的な改善と組織的なフィードバック

セルフキャリアドックを継続的に改善するためには、組織的なフィードバックが重要です。
フォローアップの過程で得られた情報を基に、組織全体での改善策を検討し、実行に移すことが推奨されます。

例えば、規則や運用の見直し、社内教育プログラムの強化など、実効性のある措置を講じることが、組織の成長を促進します。また、経営層からの発信を通じて、従業員全体への周知と意識醸成を図ることも効果的です。

セルフキャリアドックの助成金はある?

現在、セルフキャリアドックに特化した助成金は存在していません。ただし、関連する助成金制度を活用することが可能です。

かつてセルフキャリアドックに直接関連していた助成金は廃止されましたが、企業が人材育成や能力開発を支援するための助成金制度は依然として利用できます。たとえば、人材開発支援助成金。この助成金は、企業が従業員の継続的な人材育成に取り組むことを支援するもので、職業訓練を実施する企業が対象となります。

また、人材開発支援助成金にはさまざまなコースが用意されており、企業のニーズに応じて利用できます。たとえば、幅広い職業訓練をサポートするコースや、デジタル人材や高度人材の育成を支援するコースがあります。

ただし、助成金を受給するためには一定の条件を満たす必要があり、助成制度は定期的に見直されることがあります。そのため、最新の情報を確認することが重要です。申請手続きや要件に関しては、必要に応じて専門的な知識が求められる場合があるため、具体的な申請方法や詳細については、厚生労働省や各都道府県の労働局に問い合わせることをお勧めします。

セルフキャリアドックを導入している企業の事例

DIC株式会社

DIC株式会社は、少子高齢化や働き方の多様化などの社会変化に対応するため、セルフキャリアドックを試行的に導入しました。主な課題としては、若手の早期退職者の増加や採用競争力の低下、メンタル疾患を抱える社員の増加などがありました。これらの課題に対処するため、キャリアコンサルタントが社員一人ひとりに寄り添い、キャリアプランニングを支援することで「キャリア自律」と「個の発揮」を促進しました。結果として、社員は自身のキャリアを見つめ直し、強みや弱みを整理する機会を得ることができ、組織全体の活性化と業績向上に繋がりました

ブラザー販売株式会社

ブラザー販売株式会社では、平成29年に「人財活性化プロジェクト」を立ち上げ、キャリア面談の見直しを行いました。従来の面談では、上司と部下のキャリア自律度にばらつきがあり、効果的な面談が実施されていない状況がありました。そのため、社外のキャリアコンサルタントによる客観的なアドバイスを提供する環境を整備しました。試行導入の結果、キャリアコンサルティング面談に参加した従業員全員が満足し、上司向けガイダンスも好評を得ました。この成功を受けて、翌年度から定期的に社外キャリアコンサルタントを招き、社内でキャリアコンサルティング面談を受けられる制度を本格的に導入しました。

※参照元:セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業 好事例集|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000609490.pdf)

セルフキャリアドックに関するよくある質問

セルフ・キャリアドックを導入すると、転職・離職を促進してしまうのではないでしょうか?

A.セルフ・キャリアドックは、企業内で定期的に実施する場面を想定しています。そのような場面では、基本的に現在の企業・そして現在の職場の中でキャリアをどのように形成するかを支援するものであり、転職・異動を促進することを意図したものではありません。キャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、これに即した計画的な能力開発を促すことは本人の現在の仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度向上につながるとともに、企業の定着率も上がり、働くことの充実感や満足度、キャリア充実度の向上が組織の活性化につながり、生産性の向上への寄与等の効果が期待されるものです。

部下のキャリア目標が、現在の部署ではどうしても実現できない場合はどうすればよいですか?

A.セルフ・キャリアドックにおいては、キャリアコンサルタントはキャリアコンサルティング面談の内容を個人の守秘義務を担保したうえで、人事部門と共有することもあります。対象従業員のキャリア目標と現在の所属部署との間に本人の努力のレベルを越えた大きな乖離がある場合は、上司との人事異動面談は限界があり、人事部門との面談などの設定を行い、本人の目標達成のための支援を具体的に解決のための措置、視点で行うことも考えられます。

日常業務が忙しく、部下をキャリアコンサルティング面談に参加させる時間がありません。

A.企業は人材育成ビジョン・方針という形で、中長期的な人材育成の方針を打ち出しています。その内容を踏まえて、従業員1人1人が中長期的な視点に立って自らのキャリアの方向性を主体的に考える時間を確保することは非常に重要であると同時に広い意味での法律的な要請もあります。キャリアコンサルティング面談の実施によって対象従業員の自己理解や仕事理解が進み、業務効率化の改善が見出され、業務の効率化、生産性の向上、職場における信頼関係の醸成等が図られる可能性もあるので、参加に費やされる時間以上の価値があるものとご理解ください。

※引用元:「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000192530.pdf)

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