目次閉じる
少子高齢化による人口減少が進む日本では、労働力の維持と確保のための対策が急務となっています。そこで働く意欲がある高年齢者の収入維持とともに労働力人口の維持・確保を図るために施行されたのが、高年齢者雇用安定法の改正*1。
2021年4月1日施行された改正では「70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務」となりました。これにより、70歳までの定年引上げ、定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度導入など、いずれかを措置が奨励されています。
企業はこの法律に基づき、高年齢社員が今後どのような働き方をしていきたいのか希望を聞き、尊重する必要があるでしょう。それぞれのケースに応じて、研修や教育などを実施しながら、ミドル・シニア世代のキャリア開発の支援や意識改革することがとても重要な課題となってきます。
リクルートのアンケートによれば45歳から64歳までの51.1%が「キャリアについて考えていない」と回答しており、早急に手を打たなければ、キャリアに後ろ向きな人材が増え、企業の持続的成長にも影響しかねません。
企業にとって定年延長は「安定した労働力の確保」という観点からはメリットがありますが、「組織の若返りが困難」「人件費の増加」「新しいアイデアが生まれづらい」といったデメリットがあるでしょう。このデメリットを乗り越えるためには、戦略的にミドル・シニア世代へのキャリア形成を支援する必要があります。
*2参照元:厚生労働省「近年の社会経済の変化と家計の動向(PDF)」
リクルートの調査によれば、ミドル・シニア世代はキャリアについて考えていなかったり、自分に自信が持てず将来に不安を抱えている層が7割弱に及びます。このような社員のキャリア形成支援のポイントは、個々の価値観を理解し、個々が持っている能力やスキルを、継続的に開発・支援をしていく必要があります。
単純に定年した退職者を再雇用してしまうと「活躍が難しいミドル・シニア世代」が増加するリスクがあります。ミドル・シニア世代にモチベーション高く働いてもらうためには、本人が活躍できる場を与える・作ることも大切です。
参照元:リクルート「40 代後半~60 代前半の働く価値観調査(PDF)」
必要なのは、ミドル・シニア世代の意識改革です。シニア世代が社会に出たころは、60代で定年退職をして第一線から退くということが普通でした。入社したら長期間雇用をする企業も多かったため、キャリア形成について考える必要性があまりなかったと言えるでしょう。
しかし、近年はどのような企業でも、数年先の安心が約束されていません。ミドル・シニア世代に限らず、終身雇用が当り前ではなくなっています。さらに、老後2000万円問題と言われるように、退職後の自助努力も必要になってきます。
つまり、ミドル・シニア世代に社会の変化の理解と、「会社依存型」の働き方から「自律型」の働き方へ意識を変えてもらい、自分のキャリアを長期的に設計することの必要性・重要性を認識してもらう必要があります。
そして、そのための支援を企業は行う必要があるのです。
社員が70歳まで働けるということは、貢献できる貴重な人材をより長く戦力として維持できるということになります。重要なのは、キャリアを築いてきた40代、50代の社員に、10年後や20年後をもう一度イメージしてもらい、自らのキャリアを見直してもらうことです。
こうした人材は、もしかしたら60歳や65歳というゴールでキャリアを考えている可能性があります。根本的に今後のキャリアの方向性を定期的に考える習慣づけが必要でしょう。
加齢で身体機能や記憶力、情報処理のスピードは衰えていく一方で、成熟していく知的能力もあります。国立長寿医療研究センターの研究では、知識の豊かさを表す「知識力」が、40歳から70歳を過ぎるころまで向上する事実が明らかとなっており、その後は緩やかに低下するものの90歳を目前にしても、40歳の人よりも高得点であるという事実もあります。
このように、40代や50代もまだまだ伸び盛りです。こうした世代のキャリアを支援していくことが、企業の持続的成長にもつながるでしょう。
キャリア形成を行うにあたり、まずは研修を行う企業が多いでしょう。コスト削減の観点から研修を内製化している企業も多く見受けられますが、コスト面だけに焦点を当てるのは早計です。
重要なのは質です。ミドル・シニア世代はそれぞれ異なる人生経験を積んできており、凝り固まった考えを持っている人も中にはおり、持っている価値観もそれぞれ違います。意識を変えるのは一筋縄ではいかず、研修には当然質が求められます。
しかし社内講師は、業務のプロであっても研修のプロではありません。また社内講師は自分が育ってきた経験を基にして育成論を語る「我流理論」に陥りがちです。自分には効果的であってもそれが人に対しても効果があるとは言えません。とくにミドル・シニア世代になると、それが如実に表れるでしょう。
ミドル・シニア世代の研修は新卒研修などとは異なり、ノウハウがより求められますし、短期ではなく長期的な視点で人材の意識とキャリアのステップアップを行えるプログラムが必要です。そのため、ミドル・シニア研修を専門的に行っていたり、その領域に強みを持った会社に研修を依頼することを強く推奨いたします。
ターゲットとなる社員で選ぶ
ミドルキャリア研修
社会人材コミュニケーションズの研修は、個人向けキャリアマネジメント研修「知命塾」で培ったノウハウを活用し、社員一人ひとりの課題に向き合い、プロフェッショナルとしての活躍を促します。企業の実情に合わせたカスタマイズ研修や、外部との交流を含む実践的なプログラムを通じて、ミドル・シニア層の主体的なキャリア形成を支援します。
リクルートマネジメントソリューションズのミドル・シニア向けキャリア研修は、キャリアの停滞感やモチベーション低下に直面する40代社員に対し、複数のキャリアバリエーションを描く場を提供します。これにより、組織内での新たな挑戦や自己成長を促し、雇用延長を見据えた主体的なキャリア形成を支援します。
女性キャリアが活躍しきれない現状を変えたいなら、制度の見直しや、女性管理職への研修はもちろん、女性の上司となる男性社員に対しても研修を行い、男性管理職が女性役職者をどうサポートしていくべきかを意識づけしていくことが求められます。インソースの女性活躍推進ための研修はバリエーション豊富で、男女それぞれに必要なアプローチができます。
選出基準
前提:「ミドルキャリア研修」とGoogleで検索して10ページまでに出てくる実際に「ミドル・シニア向け研修」を行っている企業42社を調査し、実績の掲載、講師を掲載している企業をピックアップ。
・社会人材コミュニケーションズ:依頼を受けた企業の課題によって研修内容のカスタマイズを行っている企業の中で年間の実績が最も多い企業
・インソース:パッケージ型の研修を行っている企業の中で年間の実績が最も多い企業
・リクルートマネジメントソリューションズ:マネジメント研修を行っている上場している企業の中で最も年間の実績が多い企業