このページでは、ミドルシニア向けにキャリア研修を行う社会人材コミュニケーションズの宮島忠文氏にインタビューを行いました。必見の内容が満載です。
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総合電機メーカーのエンジニアとしてキャリアをスタート。ハードウェア・ソフトウェア設計、生産管理システムの開発、ネットワークの研究等を行う。
その後、受験指導校で教務責任者・執行役員として18年間従事。同時に中小企業診断士として事業再生・新規事業の立ち上げ等を中心に経営診断・ハンズオン支援を行う。2013年から「活躍し続けられる社会の実現」という理念を実現すべく社会人材学舎を創業。
経済産業省・中小企業庁・厚生労働省において、キャリア等に関する研究会の委員を務める。「やりがいを求めている」という方は結構多いです。会社に対する思いも強いですし、まだまだ活躍したいと思っています。
ただ、そのメッセージが会社(人事)に伝わっていないことが多いのが実情です。
「ミドルシニア人材と向き合う時間を十分に持っている」。そう思っている人事の方は多いです。人事のみなさんはもちろん必要なことをやられていると思います。ただ、悲しいことにミドルシニア人材からは、「足りない」と思われている。これは当社の調査で明らかになっています。
「人事が言うことなんて…」とバイアスがかかっていることもあって、ミドルシニア人材がメッセージをしっかり受け取れていません。 ミドルシニア人材は潜在能力が高い。それは間違いありません。ただ、それを会社が活かせていないことが往々にしてあるので、とてももったいないです。
「会社からの期待値」を伝えています。人事とミドルシニア人材の考えのギャップを埋めていくのが、我々の使命だと考えています。
あとは「視点を社会に向けてあげる」こと。 会社ではなく社会を視点にし、「会社を通して社会に貢献する」という姿勢を持つことが必要ゆえに、社名を「社会人材」としています。
会社内に視点が捕らわれてしまうと、制度の兼ね合いなどもあっていつか限界がきます。でも社会に目を向ければ、実は貢献できることも多いんです。 役職やキャリアに関わらず、活かせる能力はだれもが持っています。そこに気づいてほしいと思って研修をしています。
自分のことは一番自分がよくわからない。問題は、自分ではわかっていると思っている点です。 大事なのは、話し合いの場を多く持つこと。我々講師と話したり、グループワークをしたり。
詳しいことは言えないのですが、当社はただのグループワークを行っていません。グループワークの本質を理解して実施する。だから効果が変わってきます。
大きい話でいえば「いつでも、いつまでも、誰もが活躍できる社会にしたい」という思いがあるからです。 私は父を早くに亡くし母子家庭だったので、困難や理不尽なことを目の当たりにしました。
「多くの人がある意味で生きづらい社会」、とでも言いますか、これは健全じゃないという思いを元々持っていました。 素性とか一切関係なく、一人ひとりが大人になってからでもチャンスを得られる社会にしたい。そう思っています。
社会の中でもジョブローテーションした方がいいんです。
例えば実は絵が上手いとか、音楽の才能があるとか、カメラが上手いとか、あとから気づくことってありますよね。 違う社会を経験することで、違う自分を発見できる。駄目な部分も見えますよ。今の会社の良さもわかります。 プラスになることが多いんです。
若手社員の離職防止にもつながります。ミドルシニア人材の活躍に離職防止が紐づいていることに気づけていない人事の方もおられます。 離職理由のみならず離職しない理由も重要です。離職しない理由、その大半は人間関係です。
いま1on1が普及しはじめていますが、若手の部下と話すミドルシニア人材、つまり上司のモチベーションが高くなければ、そのミーティングは意味がありません。モチベーションが低い上司になにか説かれても、刺さらないですよね。
「この会社なら、60歳を超えてもワクワクする仕事に就ける」。そんな環境が整っていれば、会社に残りたいと思うじゃないですか。 ミドルシニア人材だけにメスを入れるのではなく、一貫して対応することが重要です。 結局、キャリア対策は採用戦略でもあります。
分かりやすいところから説明しますと、研修を受けた人たちの表情が明るくなります。これまで見えていなかった選択肢が見つかるので、希望が生まれるんですよね。
40歳を超えると、夢や希望という言葉から遠ざかることが多い。だからこそ、夢や希望を見つけることが重要です。
たとえば、なにか隙間領域を見つけて人事に提案したら、実際にそのチャンスを得た人を何人も見てきました。 この年齢では海外赴任には抜擢されないだろうと思いつつ提案したら、そのチャンスが巡ってきたり。もう会社をやめなきゃいけない年齢だなと思っていたら、役員になったり。
本人がアクションさえすれば、うまくいく方法はあるんです。明るい未来に繋がる選択肢が見つかるので、表情が明るくなるんですよね。
愚痴から提案にアクションが変わります。人事は愚痴を聞いてくれるかもしれないですが、愚痴には生産性がありません。
多くの人事は、積極的な行動や提案を待っています。提案が通ることが多いのはそのためです。
年を重ねても能力は変わらないし、むしろ磨かれていくもの。 自己肯定感、自己効力感を磨いてあげるだけでも行動は変わります。
「一人ひとりを大事にする」からではないでしょうか。我々はマクロで見ていません。一人ひとりの課題をどうしたら解決できるかというプロセスを、我々は知っています。 当社の講師は元々大規模な会社でキャリアを積み、その後に転職して小さい会社の幹部をやってきたような人たちです。自分自身、キャリアを語れる経験を持っています。
だからこそ言葉に説得力がある。一般論じゃなくて、私はこうでしたと答えられる。そこが当社の強いところです。 キャリアって生ものなので、その人の経験に沿って話さないと意味がありません。誰かが書いた本の内容をそのまま活かした形式的なキャリア研修では、なにも変わりません。
我々は当然ながら、理論も熟知しています。加えて実践の場でチューニングをしてきている。つまり、理論と実践のハイブリッドな研修を提供できます。 一度研修してみて、なにかおかしいなと思ったら、すぐにチューニングをします。
課題はその会社によって異なるし、しかも複雑に絡み合っている。都度都度チューニングをして分析しなければ、本当の成果にはつながりません。 我々は採用支援などで企業サイドも見てきました。何社も見てきたからこそ、傾向もわかります。
自社で研修を実施している会社も増えてきましたが、社内の方ですとバイアスもかかりますし、講師も受講者も言いたいことを言えない事もあります。顔見知りもいますのでなおさらです。
これらのことから問題の本質に迫りにくいというケースが往々にしてあります。同じ社内の人間だと、なかなか難しいところがあります。
さらに、外部研修講師は企業を横断的に見ています。 だからこそ、理論のうえにさらに経験も持った外部の人間が研修をしたほうが良いと言えます。
もちろん、人事部門では難しいというわけではありません。人事部門の大変さは、配慮しなければいけません。 人材を巡る環境が激しく変わる昨今では最新の情報をキャッチアップしなければいけないし、現場からはいろいろ恨み節を言われることもある。とても大変なんですよ。
制度が社員に浸透していないのなら、我々が盾になって説明をします。 当社には人事部門出身の講師もいるので、人事関連の相談にもしっかり答えられるのも強みですね。
研修が終わった後がむしろ始まりです。研修後にフォローアップしてあげないといけません。 我々はフォローアップも行います。 ここも都度都度、チューニングが必要です。たとえば、景気動向によって人の心理はガラッと変わります。 時勢に合わせて制度も整えてあげないと、研修を実施した意味がなくなってしまうので注意が必要です。
70歳の定年制度の議論がありますが、「70歳定年制度を浸透させてくださいね」と会社に押し付けても、各社の生産性が上がらない限りは対応できないし、会社が潰れてしまいます。
やらなければいけないのは、60歳に近づいたらワクワクするような制度を作ること。年を取ったら「そうなりたい」と全員が思うような制度です。
自由に手を挙げて新しいプロジェクトを立ち上げるとか、ジョイントベンチャーをやるとか。
ミドルシニア人材は高いスキルを持っているわけですから、新規事業に積極的に抜擢すべきだと思います。少子高齢化の日本において、ミドルシニアを輝かせないとだめなんですよ。 今は各社でさまざまな取り組みが始まっているので、我々もその一助として少しでも日本を変えていければと思っています。
ただ、研修を実施するのではなく、一人ひとりとの対話を重視。研修のなかで個々の強みを明らかにし、目指したい方向、活躍できる方向性を見出すことで、活躍できる人材へと導いています。
ミドルシニア人材は活かされていないだけで、高い潜在能力を持っているという本質を理解しているからこそ、一人ひとりに丁寧に対峙できるのです。
企業の元役員や人事、幅広い転職歴を持っているなどさまざまなキャリアを歩み、転職支援やキャリア相談、コーチングなどの経験を持った人たちが、講師を務めています。文字通りの十人十色。
自分で語れるキャリアの経験があり、さまざまな現場でミドルシニア人材を見てきたからこそ、言葉に説得力があり、課題にピンポイントで応えられます。
企業によって異なるさまざまな課題を分析し、実情に合わせて研修を提供してくれます。これができるのは、現場を知りつくし、豊富なノウハウを持つ講師陣が揃っているからこそ。研修の実施中で懸念点があれば調整する柔軟性も魅力で、研修後のフォローアップについても、最後まで伴走してくれます。
「何歳になっても活躍してほしい」。
そんな思いで研修を実施しているのが、社会人材コミュニケーションズです。少子高齢化が進むなか、重要な役割を担う存在ながら、能力を十二分に発揮できていないミドルシニア人材がたくさんいます。 この層のキャリアを手厚くフォローすることが、企業の活性化、ひいては国力の向上につながると確信しています。